Meshtastic の信号メーターの仕組み
Meshtastic の信号メーター(アプリでおなじみのバーやステータスの色)は、従来の携帯電話や WiFi ルーターの「バー」とはまったく異なる方法で計算されます。
ほとんどの一般向けデバイスは、単に信号がどれだけ「大きい」かを測定します。 しかし Meshtastic は LoRa(Long Range)技術を使用しているため、その信号メーターは、メッシュが使用している具体的な設定を基準に、信号がどれだけ明瞭かを測定します。
1. 2 つの指標:「大きさ」と「明瞭さ」
LoRa の無線チップは、メッセージを受信するたびに 2 つの測定値を報告します:
- RSSI(受信信号強度インジケーター): アンテナに届く生の電力の大きさ。
- SNR(信号対ノイズ比): 背景のノイズと比較した信号の明瞭さ。
💡 ヒント: たとえて言うと、友人があなたに話しかけているのを聞き取ろうとしている場面を想像してください。
- RSSI は、その声がどれだけ大きいかです。
- ノイズフロアは、部屋の中の背景ノイズ(エアコン、他の人の話し声、交通音)です。
- SNR は、背景ノイズの中から友人の声をどれだけ簡単に聞き分けられるかです。
耳をつんざくようなロックコンサートで友人が叫んでも、信号は非常に大きい(高い RSSI)一方で、背景ノイズのほうが大きいため(悪い SNR)、聞き取れません。 逆に、静まり返った図書館で友人がささやけば、信号は非常に弱い(低い RSSI)ものの、完璧に聞き取れます(非常に良い SNR)。
2. LoRa の魔法:「ノイズフロアの下」を聞き取る
標準的な無線(FM や WiFi など)では、背景ノイズが信号より大きい(負の SNR)場合、受信機にはノイズしか聞こえません。
LoRa は特別です。 **「スペクトラム拡散」**変調を使用しており、信号が背景ノイズの下深くに埋もれていても、無線機が数学的に信号を取り出せます。 そのため Meshtastic では、負の SNR 値が頻繁に見られます(例:-10 dB。これは信号が背景ノイズより 10 デシベル弱いことを意味します)。
使用している Meshtastic のプリセット(例:LongFast と ShortFast)に応じて、無線機には固有の SNR 限界があります。これは、メッセージがノイズに完全に埋もれてしまう前に許容できるノイズの絶対的な最大量です。
3. 信号メーターが品質を計算する仕組み
アプリは、信号品質(なし・不良・普通・良)を SNR のみから、プリセットの SNR 限界を基準として評価します。これは前述の復調限界です。 この評価には、意図的に RSSI を含めていません。ローカルのノイズフロアが分からなければ、RSSI だけでは信号が実際に復調できるかどうかは分からないため、プリセット限界に対する SNR が意味のある指標になります。 (RSSI は、別の場所には引き続き表示されます。)
評価はプリセット限界を基準とするため、同じ SNR でもプリセットによって評価が異なります。-15 dB は LongSlow では良好ですが、ShortFast では使い物になりません。 limit を現在のプリセットの SNR 限界とすると、アプリがバー(または色)を選ぶ方法は次のとおりです:
| レベル | バー | 基準 | 意味 |
|---|---|---|---|
| 良 | 3 | SNR がプリセットの limit を上回る | 信号が復調限界を十分に上回っています。良好な接続です。 |
| 普通 | 2 | limit より 5.5 dB 未満低い | 復調できますが、限界に近づいています。 |
| 不良 | 1 | limit より 5.5 dB〜7.5 dB 低い | プリセットが復元できるぎりぎりの境界です。 |
| なし | 0 | limit より 7.5 dB を超えて低い | 限界を下回っています。送信がノイズに埋もれて失われます。 |
注意: 他の場所で見かけたことのある固定の SNR しきい値(
-7 dB/-15 dB)は、現在ではルート追跡の結果で個々のホップに色を付けるためだけに使われ、ここで説明しているノードごとの信号メーターには使われません。
4. これがあなたにとって意味すること
Meshtastic のメーターは**「明瞭さのメーター」**として機能するため、多くの人が予想するのとは異なる動作をします:
💡 ヒント: RSSI が低くても慌てないでください。
-118 dBmのような、一見ひどい RSSI 値が表示されることがあります。 携帯電話なら、バーはゼロでしょう。 しかし SNR が+2 dBあれば、Meshtastic は依然として強い信号を表示します! 図書館は静かなので、ささやき声も完璧に聞こえます。
⚠️ 警告: ローカルのノイズに注意してください。 大型のアンテナを接続して優れた RSSI(例:
-90 dBm)が表示されているのに、信号メーターが **1 本(不良)**しか表示していない場合、問題があります。 これは、ローカルの干渉(安価な電源、ノイズの多いコンピューター、近くの電波塔など)が大量のノイズを発生させ、メッシュをかき消していることを意味します。
信号情報が表示される場所
アプリでは、信号データはいくつかの場所に表示されます:
- ノードリスト:各ノードの横にある信号バーのアイコン
- ノードの詳細:デバイスメトリクスのセクションにある SNR、RSSI、信号品質
- ルート追跡:各中継ノードの、ホップごとの信号品質
- 信号メトリクス:メトリクスのグラフにある SNR と RSSI の履歴データ

関連トピック
- ノード:ノードリストで信号バーが表示される場所
- ノードメトリクス:SNR/RSSI の履歴と、ノードごとの信号品質の目安
- 設定:無線機とユーザー:モデムプリセットとその SNR 限界